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97項目で、自社のAI利用を自分で点検する

国のガイドライン・法令に基づく「生成AIガバナンスチェックリスト(全97項目・12分類)」を、Web上でそのまま使えます。まずは無料で「A. ガバナンス・体制」の10項目からお試しください。

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12分類で見る、対応しない場合のリスク

97項目は12の分類に分かれています。分類ごとに「対応しないと何が起きるか」と「なぜ対応が必要か」をまとめました。分類名をクリックすると詳しく表示されます。

高リスク評価が「高」の項目数 法令根拠が法令(該当時は義務)・改正法の項目数

Aガバナンス・体制統制の土台が崩れ、事故時の責任・初動が不明確化10項目高 6法令 1

対応しない場合の危険性

  • 「誰が・どの業務で・どのAIを・何のために使っているか」が経営層に見えず、問題が起きて初めて把握する状態になります。
  • 責任者・決裁経路が定まっていないため、事故発生時の初動対応と対外説明が遅れ、被害と信用失墜が拡大します。
  • 組織的・人的・物理的・技術的安全管理措置(個人情報保護法)を講じていないと評価され、個人情報保護委員会からの指導・勧告・命令のリスクが高まります。
  • AIリスクが経営リスクとして管理されず、情報漏えい・権利侵害・風評被害といった重大損失の芽を、誰も除去・監視しません。

対応が必要な理由

  • AI事業者ガイドライン第1.2版は、経営層の承認による基本方針・責任体制・経営への定期報告を求めており、ガバナンスはA〜Lすべての統制の土台になります。
  • 基本方針・規程・責任者がなければ、入力禁止情報や人的確認など個別のルール(C〜K)に強制力を持たせられません。
  • 自己点検・内部監査・経営報告の仕組みがないと、整備したはずの規程が形骸化していても誰も検証できません。

主な根拠:AI事業者ガイドライン第1.2版(総務省・経産省)/個人情報保護法/金融庁 AIディスカッションペーパー

Bリスク評価・棚卸シャドーAIの放置、高リスク領域の無統制利用8項目高 4法令 1

対応しない場合の危険性

  • 部門の黙認利用や個人アカウントなど「見えないAI利用(シャドーAI)」が広がり、統制外のリスクが積み上がります。
  • 人事・与信・医療等の高リスク領域での利用が特定されず、誤判断・差別的な結果が本人や顧客に直接の被害を与えます。
  • 利用目的の適法性(目的外利用の有無)を確認しないまま利用し、個人情報保護法の利用目的規制に抵触し得ます。
  • どの利用が最も危険か評価されていないため、対策の優先順位が決められず、コストが非効率に散らばります。

対応が必要な理由

  • AI事業者ガイドラインはリスクベースアプローチが基本であり、AI利用のインベントリ(一覧化)なしには、評価も統制も始まりません。
  • 棚卸・リスク評価の結果は、C〜Kの各対策をどこに集中させるかを決める共通の前提になります。
  • 新サービス・新ユースケースは常に増えるため、年1回以上の定期更新がないと統制の穴が開き続けます。

主な根拠:AI事業者ガイドライン第1.2版/個人情報保護法/金融庁 AIディスカッションペーパー/文化庁「AIと著作権に関する考え方について」

C入力情報・秘密管理営業秘密・機密の漏えい、法的保護の喪失、NDA違反11項目高 7法令 1

対応しない場合の危険性

  • 従業員が営業秘密・個人情報・未公開情報(M&A・契約情報等)をうっかり入力し、外部サーバーへ送信・学習利用されても回収できません。
  • 秘密管理性(営業秘密の3要件の1つ)を欠いた管理と判断され、不正競争防止法上の営業秘密としての法的保護を喪失します。
  • 顧客・取引先の機密情報を入力し、秘密保持契約(NDA)違反として損害賠償・取引停止に発展します。
  • 承認していない無料版・個人アカウントの業務利用が横行し、統制の外から情報が流出します。

対応が必要な理由

  • 生成AIへの入力は送信した瞬間に情報が社外に出るため、後から削除・回収しても元に戻りません。入力禁止情報のリスト化と、DLP(情報の持ち出しを検知・遮断する仕組み)等の技術的抑止という「事前防止」が唯一の実効的な防御です。
  • 経産省 営業秘密管理指針は、生成AI利用を前提とした秘密管理の見直しを求めています。
  • 個人情報保護法の安全管理措置・委託先の監督は「該当時は義務」であり、体制の欠如は直ちに法令違反リスクになります。

主な根拠:経産省 営業秘密管理指針/個情委 生成AI注意喚起/個人情報保護法

D個人情報保護個人情報保護法違反(勧告・命令・罰則。改正法の施行後は課徴金も)10項目高 6法令 8

対応しない場合の危険性

  • 外国にある事業者のAIサービスへの入力が個人情報保護法第28条の「外国にある第三者への提供」に該当すると知らずに行い、法令違反になります。
  • 要配慮個人情報や、改正法で新設される「特定生体個人情報」(顔特徴データ・声紋等)を不適正に取り扱い、個情委の報告徴収・立入検査や勧告・命令の対象になります(改正法の施行後は、一定の違反に課徴金も科され得ます)。
  • 本人からの開示・訂正・利用停止等の請求に応じられず、訴訟・行政対応・評判悪化を招きます。
  • 改正法(令和8年法律第56号)の段階施行に向けた社内準備を欠き、施行時に対応できない状態で当日を迎えます。

対応が必要な理由

  • 個人情報保護法は「該当時は義務」であり、違反は勧告・命令・罰則の対象になり得ます。2026年改正では課徴金制度も新設されました(施行は段階的)。
  • 個情委の生成AI注意喚起は、生成AIへの入力が第三者提供・越境移転に該当し得る点に言及しており、運用段階での確認が必須です。
  • 特定生体個人情報・16歳未満のこどもの情報の強化など、施行時期が確定した論点は事前準備がなければ当日対応できません。

主な根拠:個人情報保護法(第17条・第21条・第28条等)/2026年改正個人情報保護法(令和8年法律第56号)/個情委 生成AI注意喚起

E著作権・知的財産著作権・肖像権等の侵害(差止・損害賠償・回収)9項目高 6法令 5

対応しない場合の危険性

  • 生成物を既存著作物と類似したまま公開し、著作権侵害として差止請求・損害賠償・公開済み物の回収コストを負います。
  • 著作権法第30条の4の適用要件(著作物の表現を享受する目的がないこと等)を満たさない学習・利用を行い、権利侵害と評価されます。
  • 実在の人物の顔・声・氏名を本人の許諾なく生成・公開し、肖像権・パブリシティ権の侵害として紛争化します。
  • 生成物の権利帰属(人の創作的寄与の有無)を整理しないまま納品・利用し、取引先と「誰が責任を負うか」で紛争になります。

対応が必要な理由

  • 文化庁「AIと著作権に関する考え方」は、第30条の4の適用に要件確認と「権利者の利益を不当に害する場合」の評価を前提としており、無確認の利用はそのまま違法リスクになります。
  • AI生成物の著作物性・権利帰属は未確定の論点が多く、公開前チェックと契約(F)での手当てが実務上の唯一の防衛線です。
  • 公開後の回収・差し替えは大きなコストと信頼低下を伴うため、公開前の類似性チェック・第三者権利の確認が重要です。

主な根拠:著作権法第30条の4/文化庁「AIと著作権に関する考え方について」/経産省 AI契約チェックリスト/内閣府 AI時代の知的財産権検討会 中間とりまとめ

Fベンダー・契約管理学習利用・データ残存の放置、責任追及不能9項目高 3

対応しない場合の危険性

  • 学習利用を止める条項がなく、入力した社内データがベンダーのモデル学習に使用され、意図しない形で外部化します。
  • データの保管場所(国内/国外)・保存期間・削除条件が未定義のままとなり、解約後もデータが残存して漏えいリスクが続きます。
  • 出力の権利帰属・保証・責任制限が未定で、生成物が原因のトラブル時にベンダーへ責任を追及できません。
  • 外注先・フリーランスの無断AI利用が承認フローを迂回し、自社の責任問題(漏えい・権利侵害)に発展します。

対応が必要な理由

  • 利用規約への同意だけでは会社を守れず、経産省「AIの利用・開発に関する契約チェックリスト」は学習利用・データ所在地・責任分界を契約書面で確認するよう求めています。
  • クラウド型AIサービスは再委託・越境が不透明で、契約条項が唯一の統制手段になり得ます。
  • 解約時のデータ返還・削除・移行の条件が未定だと、サービス移行時に事業継続リスクになります。

主な根拠:経産省「AIの利用・開発に関する契約チェックリスト」

G出力・品質・人的確認誤情報・差別的出力の公開、訴訟・信頼失墜8項目高 4

対応しない場合の危険性

  • ハルシネーション(誤情報)をそのまま対外文書・プレス・契約文書に使用し、誤認事故・信頼失墜・契約トラブルに発展します。
  • 与信・人事・法務判断をAI出力に依存し、差別的・誤った判断が本人に直接の不利益(不採用・与信否決等)を与え、訴訟リスクになります。
  • 出力の偏見・差別的表現に気付かず公開し、レピュテーションを大きく損ないます。
  • 利用記録(プロンプト・出力・確認者)がなく、事故時に「なぜこの判断・この文章になったか」を説明できず、説明責任を果たせません。

対応が必要な理由

  • 生成AIは確率的に誤情報を含み得る性質を持ち、人の最終確認なしに品質・正確性は保証できません(ガイドラインの人間中心・透明性の要請)。
  • 数値・法令・統計等の一次ソース確認は、誤情報の拡散を防ぐ最後の砦です(総務省 注意喚起)。
  • 利用記録の保存はアカウンタビリティの証跡であり、事故時の立証・対外説明にも使えます。

主な根拠:AI事業者ガイドライン第1.2版/総務省 生成AIの利用に関する注意喚起/金融庁 AIディスカッションペーパー

Hセキュリティ・犯罪対策AI悪用詐欺・サイバー攻撃による金銭・情報被害10項目高 7

対応しない場合の危険性

  • なりすましや偽のビデオ通話(ディープフェイクを含む)で送金・契約の指示を受け、金銭被害・情報窃取に至ります。
  • 自社名・役員を装った偽広告・SNS型投資詐欺が放置され、被害の拡大とともにブランド毀損・損害賠償請求に発展します。
  • プロンプトインジェクションにより、Webページやメールを読み込ませただけでAIが文中の不正な指示を実行し、不正送信・ファイル操作・情報漏えいが起きます。
  • AIエージェントの権限を限定しないと、送信・支払い・削除などの重大操作が人の承認なしに自動実行されます。
  • 従業員が生成AIを不正プログラムの作成に使えば刑事罰の対象となり、会社の管理責任にも及びます。

対応が必要な理由

  • 警察庁の注意喚起や総務省 情報通信白書が示す通り、なりすましや偽のビデオ通話(ディープフェイクを含む)による詐欺やサイバー犯罪は現実に発生しており、企業は「被害者」にも「加害者」にもなり得ます。
  • 別経路での本人確認(折り返し確認)ルールは、なりすましや偽のビデオ通話(ディープフェイクを含む)による指示を見抜くための、基本的で有効な備えです。
  • 多要素認証・権限最小化は基本統制であり、AI利用で攻撃対象領域が広がる今こそ徹底が必要です。

主な根拠:警察庁(ニセ警察官とのビデオ通話・SNS型投資詐欺・サイバー空間をめぐる脅威の情勢)/総務省 情報通信白書 令和6年版(ディープフェイク)/AI事業者ガイドライン第1.2版

I対外発信・透明性景表法・外部送信規律・条例等の表示義務違反7項目高 2法令 4

対応しない場合の危険性

  • 生成AI作成コンテンツを無表示で発信し、後から発覚した際に消費者・取引先の信頼を大きく失います。
  • 生成AIで作った広告・商品説明・口コミ風の文章が景品表示法(優良誤認・有利誤認、ステルスマーケティング規制)に抵触し、措置命令・課徴金の対象になります。
  • 利用者情報をAIサービス・広告事業者等へ外部送信するWebサイト・アプリで、電気通信事業法の外部送信規律(第27条の12)対応が欠落します。
  • 自治体条例(性的ディープフェイクの禁止等)を確認せずにコンテンツを公開し、条例違反となります。

対応が必要な理由

  • 透明性・アカウンタビリティはAI事業者ガイドラインの中核的な行為規範であり、消費者・取引先の信頼が事業継続の前提になります。
  • 景品表示法・外部送信規律は「該当時は義務」で、違反は行政処分の対象になり得ます。
  • AI利用に関するプライバシーポリシー・利用規約の整備は、個人情報保護法(公表等)の要請です。

主な根拠:AI事業者ガイドライン第1.2版/個人情報保護法/電気通信事業法 第27条の12/景品表示法(消費者庁)/自治体条例

J教育・研修ルールの形骸化、全対策の実効性喪失5項目高 3

対応しない場合の危険性

  • ルールを整備しても従業員が知らなければ形骸化し、C〜Iの全対策の実効性が失われます(最も起きやすい失敗)。
  • 入力禁止情報を知らない従業員による情報入力が繰り返され、漏えい事故が頻発します。
  • なりすましや偽のビデオ通話(ディープフェイクを含む)による詐欺の手口を知らない役職員が、折り返し確認もせずに送金・契約を実行します。
  • 経営層がガバナンスの意義を理解しないまま、対策の予算・人員が確保されません。
  • 受講記録がなく、事故時に「教育を実施していた」ことを証明できません。

対応が必要な理由

  • AI事業者ガイドラインは「AIリテラシーの確保」として研修・人材育成を求めています(AI法そのものは研修の実施を義務づけていませんが、全対策の実効性の要)。
  • 安全管理措置(個人情報保護法)の実効性には就業上の管理(教育・訓練)が含まれ、教育のない規程は書類にすぎません。
  • 受講記録の保存は、監査・事故対応・対外説明時に「教育を実施していた」証跡になります。

主な根拠:AI事業者ガイドライン第1.2版(AIリテラシーの確保)/経産省 営業秘密管理指針/警察庁(ニセ警察官とのビデオ通話)/総務省 情報通信白書 令和6年版(ディープフェイク)

Kインシデント対応法定報告義務違反、2次被害の拡大5項目高 3法令 1

対応しない場合の危険性

  • 報告ラインが定まらず、情報漏えい・権利侵害・不正利用の発見・報告が遅れ、被害が拡大した後に対処することになります。
  • 個人情報漏えい時に個人情報保護委員会・本人への報告義務(個人情報保護法)を期限内に果たせず、個情委の指導・勧告・命令の対象になります(命令に違反すれば罰則)。
  • 初動手順(封じ込め・影響調査・公表判断)がなく、公表の遅れや不適切な公表が2次被害・信用失墜を招きます。
  • 既存のCSIRT(セキュリティ事故対応チーム)・BCP(事業継続計画)にAIインシデントが組み込まれず、訓練もないため、実際に起きた時に組織として動けません。

対応が必要な理由

  • 個人情報保護法の漏えい等報告は法定義務(速報・確報に期限がある)であり、対応体制の欠如は直ちに法令違反リスクになります。
  • AIインシデントは拡散が速く原因特定が難しい特性があり、通常のセキュリティ手順だけでは対応しきれません。
  • 訓練・机上演習なしでは、整備した初動手順は本番で機能しません。

主な根拠:個人情報保護法(漏えい等の報告義務)/AI事業者ガイドライン第1.2版

L海外規制・越境EU AI Act制裁金、越境移転の法令違反5項目高 1法令 4

対応しない場合の危険性

  • EU域内の利用者にAIサービス・チャットボットを提供し、EU AI Actの透明性義務(AIとの対話である旨・生成コンテンツの表示。2026年8月2日から適用)を知らずに違反します。
  • 高リスクAIシステムに該当する場合の義務(リスク管理・技術文書等)を把握せず、適用開始(2027年12月2日/2028年8月2日へ延期)までに対応できません。
  • 制裁金は、禁止事項違反で最大3,500万ユーロまたは全世界売上高の7%、高リスク義務違反で最大1,500万ユーロまたは3%と、売上比例型の重大な金銭リスクになります。
  • 外国のAIサービスへの入力が個人情報保護法第28条の越境移転に該当すると知らずに違反します。
  • 各国・地域の規制動向を追えず、海外展開・海外顧客との取引で突然コンプライアンス違反になります。

対応が必要な理由

  • EU AI Actには域外適用があり、日本企業でもEU域内の利用者に提供すれば義務の対象になります。
  • 高リスク義務の適用は延期されたものの、透明性義務(第50条)は2026年8月2日から既に適用が始まっています。
  • 個人情報保護法第28条(越境移転)は「該当時は義務」です。移転先の制度・保護措置の把握と本人への情報提供は、移転後ではなく移転前の整備が必要です。

主な根拠:EU AI Act(第50条等)/Regulation (EU) 2026/1744/個人情報保護法 第28条

12分類に共通する要点

  • 「法令(該当時は義務)」と「ガイドライン・推奨」の区別を持つことが大切です。個人情報保護法・著作権法30条の4・電気通信事業法・景品表示法等は該当すれば義務であり、違反は行政処分・損害賠償に直結します。
  • ガバナンス(A)と教育・研修(J)は土台です。ここが崩れると、入力禁止情報・人的確認・インシデント対応など個別の対策はすべて形骸化します。
  • 生成AIは「入力した瞬間に情報が外に出る」「誤情報を含み得る」「悪用され得る」という、従来のIT統制と異なる性質を持ちます。後出し対応ではなく、事前防止・人的確認・訓練の設計が要です。
  • 2026年は制度変化の実施年です。個人情報保護法改正(令和8年法律第56号・段階施行)とEU AI Actの透明性義務(2026年8月2日適用済み)は施行時期が確定しており、先行準備が必須です。

※ 本解説は、チェックリストの根拠(法令・ガイドライン)に基づく一般的な情報で、法的助言ではありません。個別の案件・契約については、弁護士等の専門家にご相談ください。(2026年10月9日時点)


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