生成AIの社内利用は、全面禁止ではなく「使ってよい範囲」を決めて使う方法をおすすめします。禁止しても、社員が会社に知らせずに使い続けることがあるためです。この記事では、禁止するか迷っている会社が、最初の2週間でやることを日ごとに整理します。
結論:禁止より「範囲を決めて使う」
生成AIの利用を禁止すべきか迷ったときは、次の考え方が出発点になります。
- 決めるべきは「禁止か、自由か」ではない
- 決めるべきは「使ってよい範囲」と「確認の仕組み」
- 範囲を決めれば、社員は迷わずに使える
「禁止するか、各自の判断に任せるしかない」と考える会社は少なくありません。しかし実際には、その間にある選択肢を選ぶ会社が増えています。
理由:全面禁止で起きやすいこと
全面禁止がおすすめできない理由は、主に3つあります。
- 実態が見えなくなる
便利さを知った社員は、個人のアカウントで使い続けることがあります。会社から見えない使い方のほうが、危険は大きくなります。 - ルールを学ぶ機会がなくなる
禁止している間は、何を入力してよいかを考える場がありません。いざ解禁するとき、一から決め直すことになります。 - 業務の効率化が止まる
文章の下書きや資料の要約など、AIが役立つ場面でも使えません。他社との差が開くおそれがあります。
情報漏えいなどの問題は、「AIを使うこと」そのものから起きるわけではありません。会社としてのルールと確認の仕組みがないことから起きます。
一時的に止める判断があり得る場面
ただし、すぐに利用を止める判断が必要な場面もあります。たとえば次のような場合です。
- 顧客情報や社外秘の情報が入力されていたと分かった直後
- どのツールが使われているか、まったく把握できていないとき
この場合も、止めるのは「ルールが決まるまでの短い期間」と区切るのが現実的です。期限を決めずに止めると、先に書いた問題が起きやすくなります。
具体例:最初の2週間でやること
ここからは、禁止している会社や、禁止を迷っている会社が、2週間で「範囲を決めて使う」状態にする進め方です。担当者1〜2人と経営者で進めることを想定しています。
1週目:方針を伝え、実態を知る
| 日程 | やること | できあがるもの |
|---|---|---|
| 1〜2日目 | 経営者が「禁止ではなく、範囲を決めて使う」と社員に伝える。ルールが決まるまでの暫定ルールを出す | 方針の周知、暫定ルール |
| 3〜5日目 | 社内で使われているAIツールと、使っている業務を聞き取る | AIツールの一覧(ツール名・使う人・使う業務) |
暫定ルールは、短くてかまいません。たとえば「顧客情報・個人情報・社外秘の情報は入力しない」の1行だけでも、何もないよりは安全です。
聞き取りでは、会社が契約したツールだけでなく、社員が個人の判断で使い始めたツールも含めます。責めるような聞き方をすると、正直な答えが返ってきません。「実態を知りたいだけ」と先に伝えておくと進めやすくなります。

2週目:ルールを決め、社員と確かめ合う
| 日程 | やること | できあがるもの |
|---|---|---|
| 6〜8日目 | 使ってよいツールと、入力してはいけない情報を決める | 利用してよいツールの一覧、入力禁止情報のリスト |
| 9〜10日目 | AIの出力を確認する担当と、問題が起きたときの連絡先を決める | 確認の担当者、連絡先 |
| 11〜12日目 | 社員に説明し、よくある場面で「これは入力してよいか」を確かめ合う | 周知の記録 |
| 13〜14日目 | セルフチェックで抜けがないかを確かめ、次の見直し日を決める | 点検結果、次回の見直し日 |
使ってよいツールを決めるときは、無料版と有料版の違いに注意します。入力したデータの扱いが、版によって異なる場合があるためです。
社員への説明は、ルールの文書を配るだけでは足りません。自社でよくある場面を3〜5個挙げて、その場で答えを確かめ合うと伝わりやすくなります。
2週間で決める項目のまとめ
- 使ってよいツール
- 入力してはいけない情報
- AIの出力を確認する担当
- 問題が起きたときの連絡先
- 次にルールを見直す日
2週間で完璧なルールを作る必要はありません。まず使い始め、見直しの中で直していくほうが、現場で守られるルールになります。ルールの書き方は、生成AIの社内ルールの作り方で詳しく紹介しています。

自社の状態を確かめる3つの方法
ルールを決める前後に、今の状態を確かめておくと、どこから手をつけるべきかがはっきりします。保戸丸では、目的に合わせて3つの方法を用意しています。
| 方法 | 内容 | 時間・費用 |
|---|---|---|
| 無料診断(12問セルフチェック) | 12問に答えて、自社の弱い分類を知る。回答をもとにした診断レポートも受け取れる | 約3分・無料 |
| 97項目の会員プラン | 97項目をWeb上で自社で点検する。A分類の10項目は、会員登録なしの無料プランで点検できる | 約15〜20分 定期チェックプラン:24,900円(税別)/年 使い放題年額プラン:39,800円(税別)/年 ※いずれもキャンペーン価格(2026年12月20日まで) |
| AIガバナンス支援 | 保戸丸がヒアリングで一緒に点検し、社内ルールづくりまで伴走する。日本全国、オンラインで対応 | ヒアリング1〜2回・107,800円(税込)〜 |
よくある質問
Q. すでに全面禁止にしています。解禁してもよいのでしょうか?
A. 解禁の前に、この記事の2週間の手順で「使ってよい範囲」を決めることをおすすめします。範囲を決めずに解禁すると、各自の判断で使われる状態に戻ってしまいます。
Q. 2週間では時間が足りない場合はどうすればよいですか?
A. 期間は目安です。まず1〜2日目の暫定ルールだけを先に出し、残りは自社のペースで進めてもかまいません。大切なのは、期限を決めて進めることです。
Q. 法律の判断が必要になったときはどうすればよいですか?
A. この記事で扱うのは、社内で使うときのルールづくりです。個別の法律判断が必要な場合は、弁護士などの専門家にご相談ください。
まとめ:禁止で止めず、範囲を決めて使い始める
生成AIの利用は、全面禁止よりも「使ってよい範囲」を決めて使うほうが、実態を把握しやすくなります。2週間あれば、使い始めるための最低限のルールは整えられます。
- 1週目:方針を伝え、暫定ルールを出し、実態を知る
- 2週目:ツール・入力禁止情報・確認の担当・連絡先を決め、社員と確かめ合う
- 最後に:セルフチェックで点検し、次の見直し日を決める
「禁止すべきか迷っている」段階からでも、まずは自社の状態を確かめてみてください。
社内ルールづくりをまとめて任せたい方は、お問い合わせからAIガバナンス支援についてご相談ください。
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